第39首
亡夫への土産話は整わず
我まだここで 遊びをせむとす
「あなたは、もう忘れたかしら
赤い手拭いマフラーにして〜」
レトロな下駄箱へ靴を入れ
昭和のおばあちゃん感を漂わせた方のいる番台へ
料金 450円
12種類のお風呂
10円で使えるドライヤー
昭和の世界へようこそ
午後3時
浴室には十数名の「人生の達人」が
ゆったりとお楽しみ
ひよっこが舞い込んでしまったような感じは否めない
達人のトークショーが聞こえてくる
話題は定番の
「自分の病」と「息子の嫁」である
同居であろうと別居であろうと
「嫁」は大事なコミュニケーションアイテム
これに「夫」を加えて3種の神器と言うところか
ところで「夫」側の話題は何なのだろう?
ひよっこ感は意識してしまったけれど
余所者感は覚えなかった
さりげなく
意識をこちらに向け
挨拶してくれる
神田川とは違い
洗い髪が芯まで冷えない近さの自宅へ戻り
ドライヤーをかけた
こうして
柚子湯に合わせた
銭湯デビューは無事終わる
銭湯の先にある
自家焙煎の珈琲店に行くのが
次のお楽しみ