「おーい熊さん」お後はよろしいか?〜ひとりしずかの長散歩〜
第108首
愛し花薄紅のその下に (めでしはな うすくれないの そのもとに)
泥に塗れる蓮根有りけり (どろにまみれる はすねありけり)
6、7月は歌舞伎座の思うところのチケットが手に入らなかった
ならば、月に一度のお楽しみを変えてみようと
上野鈴本演芸場へと足を運ぶ
以前、桂枝雀にハマっていたことがあった
今で言う沼落ちの状態
幼稚園へ送っていく娘を助手席に乗せ
枝雀の落語を聴きながら通勤していた
毎回同じところで笑う5歳の娘
言葉のニュアンスが彼女を楽しませていたのだろう
その枝雀の壮絶な「独演会」を観たのが
鈴本演芸場だった
本当に久しぶり
大人料金3000円
昼の部は12:30から始まり
16:00終演
鈴々舎馬風83歳が高座に上がる
舞台中央へ出て来るまでの
足取りがおぼつかない
失礼ながら
大丈夫かと心配してしまうが・・・
「お客さん、まあ聞いてごらんよ。」
と言わんばかりに会場を見回し
大きくはないが
よく通る声で語り始める
長年磨いてきたその技に引き込まれてしまう
次の奇術も
手品自体より
話の巧みさに吸い寄せられる
次々と入れ替わり
芸が披露される
私の中にある
さまざまな笑いの糸を
引っ張られているうちに
ハネ太鼓が鳴る
デテケ デテケ
テンデンバラバラ テンデンバラバラ
プロの仕事は凄い
10分ほどの高座の裏に
どれだけの時間と精神をかけていることか
笑いに癒され
その姿勢に叱咤され
「お前さんも精進しなさいよ」
と、長屋のご隠居さんに送り出された気がした
では、また