第53首
水流に抗いもせずしなやかに
ぷかーりぷかり日がな海月よ
「こうあらねばならない」
そんな鋼でなくて良い
海月
海の景色が変わったら
その色に染まって生きていけば良い
流されたなら
そこの海水を纏えばいい
岩があったら
避けて漂うだけのこと
ぷかーり
柳
風が強く吹いたなら
風下へ枝を流せば良い
風が止んだなら
さらりと枝を下ろすだけ
それだけのこと
燻る煙
小さな揺らぎに身を任せ
薄くなって
外へ外へ
やがて広い世界へ
旅立って行けば良い
それでいい
それがいい
そうしたい
そうありたい
「あなたはしなやかに生きられるのね」
友からの手紙は
こう結ばれていた
そうありたい
では、また。
御機嫌よう