第54首
それぞれが己が命日知らぬまま
その日をそっと踏み越え生きる
誰しもが
その日が命日となることを知らず
毎年その日を生きている
しかし
その日を知っていたら
その日を自らが選んでいたら
周りの者はどうしたら良い
何ができる
何がしたい
「Me before You(世界一キライなあなたに)」
重ね合わせて観ていた
余命半年
医師から宣告され
日々
変調していく夫の傍で
私は何をしていたのだろう
閉じていく人生の
残された日々の中で
私は夫の希望となり得ていたのか
深く深く
過去を掘り起こす
あの日
あの時
あの場所
あの言葉
あの表情
過ぎ去った日々は
変えられるはずもなく
残酷にも
鈍い痛みを投げつけてくる
だけど
今、私が過ごしている時間を
「俺からのギフトだと思って生きて」
そう言われた「あの時」がある
「何も悔いはない」
そう言ってくれた「あの場所」がある
今 私が生きていることが
私にできたこと
今 私が楽しんでいることが
私にできること
「You before Me」
では、また
御機嫌よう