第52首
それぞれの「転」が如何にあろうとも
全てのものは「結」へと流る
遺言書を整え
法務手続きも完了
一冊のファイルにまとめて
保管場所を提示
残される者の負担は最小限に
多少の片付けはお願いして
今できる身辺整理は終わった
そうしたら
人生がクローズしたような
そんな思いが押し寄せてきて
このまま消えてしまってもいい
そう感じている自分がいた
息子の成長を認め
自分の手を離れて歩いていると
確信できた三年前
夫は
こんな気持ちになり
知らず知らずのうちに
病を受容していた
今となると
そんな気がしてならない
私にはまだ早い
終点を考える時ではない
クローズしてはならない
夫に託された人生も抱えている
トレードオフで私に訪れた自由
内在する葛藤
ギャップとの闘い
否めない軋轢
だけど
全て私のもの
本当に好きなことだけと向き合える時間
彼方の目標に向かって
進めるところまで
少しずつ
楽しみながら
では、また
御機嫌よう。