第57首
君が身は 粒子となりて空を舞う
風いざなえば いつでも逢える
「神様のカルテ」を読み終え
さざなみの中にいる
読了までに何度も涙が溢れ
止まらない
消えゆく命
見守る医療従事者
2ヶ月間
泊まり込みの看護で過ごした緩和ケア病棟
4人のドクターが思い浮かぶ
休日なのに話し相手にと病室を訪れてくれた院長先生
陽気な若い担当医
薬を調整してくれたベテランの女医
生きている間の希望を授けてくれた老医師
緩和ケア病棟の患者は
退院することがない
回復の喜びのない病室
ある日、隣の部屋が空室となる
ある日、違う名前のプレートに変わっている
日々、消えゆく生命を
看取る過酷な現場
けれど
看護に当たる方々は
いつも笑顔で
私の体調管理にまで
心を砕いてくれた
一時でも患者が穏やかに過ごせるよう
家族が悲しみに押し潰されないよう
夫が危篤状態に陥った
家族が到着するまでの時間を
傍でともに過ごしてくれた
担当の看護師 Iさん
一つの生が幕を閉じた時
私の背にそっと添えてくれた
あの暖かい手を
忘れることはないだろう
もうすぐ
沖縄の青い空へと
広がっていった夫の命日が巡ってくる
感謝の気持ちとともに
ちゅらの島へ向かう
では、また
御機嫌よう