沖縄で再生・私を知る人がいない
第31首
フーチバーを蓬と変換しなくても
暮らせる頃にここ立ち去りぬ・・・
夫が最後の地として選んだ
沖縄の緩和ケア病棟
移住・入院して2ヶ月余りで
旅立っていった
ここには
私を知る人がいない・・・
そのことに救われた
私はそのまま
沖縄に身を委ねた
私の心がまえができるまで
私が語り始めるまで
誰も夫のことを尋ねない
触れられることがない
しかし
身内からの言葉は刃となった
舅には逆縁の不幸であり
私の両親にとっても辛いこと
だが
私に他の人のことを
思いやる余力はない
心が違う角度から砕かれた
再び血が流れ出した
セルフグリーフケアは
その人自身が行うこと
自分を守るために
これらの言葉から距離をおいた
青い海
ゆったり流れる時間
優しい人々に囲まれ
少しずつ、少しずつ
心は整っていった・・・
毎日
ベランダから
夕陽が海へ沈んでゆくのを見て
1日を生き延びたことに
気づいた
1日、1日が積み重ねられ
夫が旅立っていったこの地で
私は再生した
新たな私が誕生した
今、ここを立ち去る
けれども
故郷となった沖縄には
毎年 帰って来る
にふぇーでーびる