第60首
エールをくれる上界の君
先月
亡夫の誕生日が巡ってきた
写真の夫はもう歳をとれない
それでも
ケーキを買って
花を飾り
ワインを開ける
生前
「いつまでもメソメソと
影膳なんてしたら承知しない」
と言っていたが
一緒に
好きなワインを飲むことには
文句をつけないだろう
今年は
10年前に旅行した小樽のワイン
私だけ齢を重ねるわけにはいかない
次に会えた時
きっと
「誰だか分からないほど
歳をとったな」
と憎まれ口を言うから
だから
誕生日を迎えて
同じように歳を重ねてもらうことにした
プレゼントは
私が使う
二人で選ぶなら何だろうと
考えて購入する
昨年は
「マーク・ロスコ」のポスター
今年はApple Watch
二人で積み重ねた日々を
今の生活の彩として
一人の日々を積み重ねていく
では、また
御機嫌よう