第36首
沖縄の母から届くラインには
「元気ですよ」のペンギンスタンプ
愛をくれたのは
相手の人ではありません
あなた自身が
愛を生み出したのです
でもその人は
あなたから愛を
引き出してくれた
大切な人です
By 葉祥明
夫の火葬が済み
居住地へ戻る息子は
朝、こう言った
「何かあったら遠慮せず
いつでもラインを。
すぐに返信はできないけれど
休憩時間には見られるから。」
ラジオ体操後
朝の挨拶を送ってみた
それが定着し
毎朝「おはよう」のラインスタンプを送る
「OK」のスタンプが息子から返ってくる
「今日も生きて朝を迎えました」
一人暮らしを心配する息子への
欠かしてはならない
朝のタスクとなる
少しずつ
少しずつ
私の視線が
地面より上のものを捉えるよう
サポートしてくれた
夫は生前
息子に託した
「生活の基盤は作ってやれた。
今後の精神的な支柱はお前に頼む。」と
私は一人で生きているのではない
守られながら生きている
「生」を大切にしなければならない
「９時になっても
ラインが来なかったら
出動だな」
私が転居したことで
すぐに駆けつけられる距離となり
今では冗談めかして言ってくれる
今朝も元気にペンギンは跳ねた
では、また。御機嫌よう
